2018年7月11日付

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いつだったか、こんなことを聞いた。「政治家の質が落ちたのは、戦争体験者がいなくなったからだ」―。それが本当かどうかは分からない。ただ、あの時代を実体験した人は、男女問わず、人間としての芯の太さというか、胆力というか、戦後世代とは違うと思うことが多い▼先ごろ出版された戦争体験文集「不戦を誓う百人のことば」を拝見した。諏訪地域の有志でつくる「戦争はいやだ、平和を守ろう会」が発行した3冊目の本だ。過去の本に比べ、直接的な戦争体験に関する作品は半分ほどという。それだけ体験者が少なくなった▼諏訪市の84歳の女性の手記が印象に残った。父親が戦死し、戦中戦後は母親が大黒柱として働きに働き、子どもたちを育てた。いま思うと「哀れな母の姿が目に浮かんでくる」という。こういう家庭が日本中にいくらでもあったのだろう▼この女性は「何の疑問も抱かず政策のまま生きたあの時代」を反省する。そして、これからは「自分はこう考える、と意見をいい行動する」「異質のものを受容する心を持つ」の2点を決意する。自立と共生、84歳の誓いである▼「平和を守ろう会」の中心には80代、90代の方がいる。失礼な言い方になるが、その年齢でありながら、平和への信念や不戦の決意は極めて固く、行動力には驚かせられる。平和で豊かな時代しか知らない私たちが、その思いをどれだけ受け継げるだろう。

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