2018年07月26日付

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「夏は逝ってしまった/そして君たちも逝ってしまった/そして君たちとおれたちとの間に/時間がぱっくりと大きな口を開けてしまった」。大切な生徒を失った高校教諭の詩の一節だ▼1967(昭和42)年8月1日午後1時40分ごろのこと。北アルプス西穂高岳独標付近で、松本深志高校学校登山の2年生ら46人が雷に打たれ、11人が死亡、13人が重軽傷という山岳遭難事故が起きた。冒頭の詩は追悼文集「独標に祈る」(68年刊行)に収録されている▼遭難事故の調査報告などによると、稜線上での行動が午後になったことや、落雷時の退避行動に問題があったことなど、いくつかが原因とされた。しかし「雷に対する恐怖心・警戒心の欠如、学習・経験の不足」と指摘された天候判断の誤りも主因だった▼山の気象を的確に判断し、行動するのは難しい。日本の山に慣れていない外国人の場合はなおさらだ。山の天気予報専門会社ヤマテン(茅野市)が今月から、外国人向けの予報情報サービスを始めた。母国に2000メートル級の山がないために知識不足だったり、テント泊が多かったりと、外国人ならではの事情がある▼同社は「日本の気象の特徴を学べるようにして、気象による遭難を少しでも減らしたい」としている。昨年1年間の山岳遭難は長野県での発生が最も多かった。過去の教訓を生かし、現代の機器も使いながら、遭難が減ることを望む。

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