2016年05月21日付

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石段に残る人影が目に焼きついている。広島平和記念資料館で見たのはもう30年前になるけれど、薄れ行く記憶の中ではっきりとよみがえる。やはり実物が訴え掛ける力は大きかった▼資料館によると爆心地近くの銀行入口の階段だ。強烈な熱線で表面は白っぽく変化し、人が腰掛けていた部分だけが影のように黒くなって残ったという。原爆ドームはむき出しになった鉄骨の枠組みが衝撃のすさまじさを語り、そこだけ時間が止まっているような感覚になった▼オバマ米大統領が27日に広島を訪問する。原爆を投下した国の最高責任者、現職大統領として初めてとなる。2009年のプラハ演説で「核なき世界」を訴え、ノーベル平和賞を受賞した。個人としては早期に広島へという思いがあったかもしれない。これから外交的手腕を振るうという就任直後でなく、来年1月で退任というタイミングは残念だけれど、決断は歓迎したい▼伊勢志摩サミット閉幕後の数時間が充てられるらしい。平和記念公園での献花は予定されているようだ。資料館の見学は難しいのだろうか。戦後71年、ありがたいことに体験者が生きている。ぜひ被爆者の肉声に耳を傾け、平和のメッセージを世界に発信し、核廃絶のうねりを起こしてほしい▼日本人でも広島を訪れる機会がないままに過ごしてきた人も多いだろう。平和を学びに私も広島へ―。そんな刺激にもなればいい。

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