ニホンジカ食害対策 県が霧ケ峰に忌避剤試験区

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ニホンジカによる草本植物の食害対策で、県は近く、諏訪市郊外の霧ケ峰・蛙原に試験区を設け、樹木保護に用いられているシカ忌避剤をニッコウキスゲに散布して花芽を守れるか検証を始める。現在は防護柵で囲んで植物群落を保全するが、設置と維持管理にかかる労力や費用が大きいといった課題がある。実用化できれば省力・低コストにつながり、景観を損ねない対策として観光地などに普及する可能性もある。

小和田牧野農協が所有するニッコウキスゲ生育地の一角を借り、6月中旬~8月下旬の花期に行う。450平方メートルの試験区内に散布区、何も施さない対照区を設定。忌避効果は約3カ月間持続するとされるが、今回は2週間に1回のペースで散布して効果を見極める。2018年夏まで3年間継続する方針だ。

今回の忌避剤について、自然保護課は「樹木用として既に農薬登録を受けている。卵から作った粉末など成分は全て天然素材で、人体、環境に与える影響は少ない」と説明する。草本植物への使用を可能にするための試験研究も進めており、ポット苗では薬害は確認されていない。においも気にならないという。

観光資源でもあるニッコウキスゲや、貴重な草原・湿原環境を守ろうと、霧ケ峰には総延長14キロ余りの防護柵が設置されている。同課は、忌避剤であれば資材費が電気柵の10分の1で済むと試算。保護効果はやや見劣りすると推測するが、景観への影響を抑えられ、観光客の満足度を高める効果を生むとみている。

23日、諏訪市内で開いた霧ケ峰自然環境保全協議会で報告。宮原登課長は「シカの個体数の増加や生息域の拡大により、農林業だけでなく植物の被害が深刻化している。既存の樹木用忌避剤が植物に適用できるかを検討したい」と話した。地元の子どもたちが蛙原に植えたニッコウキスゲには手を付けない。

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