藤森栄一賞に静岡の池谷さん 県考古学会

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県考古学会は9日、第44回藤森栄一賞の選考委員会(笹沢浩委員長、12人)を諏訪市内で開き、中世(鎌倉、室町時代)の伊豆地域の研究に尽力した池谷初恵さん(58)=静岡県伊豆の国市=を受賞者に決めた。韮山地域の3史跡をはじめとする「守山中世史跡群」の研究を通じて伊豆地域の中世史を描き出し、日本全体に位置付けて解明する研究姿勢を評価した。

池谷さんは東京都出身。明治大学文学部史学地理学科を卒業し、現在は伊豆の国市文化財調査課に勤務している。研究では戦に向かう武士が団結の証しとして交わす杯「かわらけ」をはじめとする出土遺物を分類。年代ごとにそろえる基礎研究や地元産、瀬戸物などの産地で作られた国内産、当時の貴重品であった中国からの輸入陶磁器の分類から、鎌倉幕府初代執権の北条時政の本拠地であった同地域の隆盛と衰勢の動向を表した。

選考後の会見で笹沢委員長(80)=長野市=は「中世の文献が少ない中で地に埋もれた史料を丹念に掘り出し、成果を残した。中世韮山の空間構成の研究は他者の追随を許さないほど行動なものだ。在野的精神の下で既成概念のとらわれない研究の実践は藤森先生に通じるものがある」と評価した。

池谷さんは20年ほど前から同研究を続けているといい、「尊敬する藤森先生の名前が付いた賞をいただき、身に余る光栄。当地域の中世に関する古文書がほとんど残っていない中、当時の様子を遺跡の研究成果を通して語れるよう、今後も活動を続けていきたい」と抱負を語った。

同賞には全国の推薦委員から個人7、団体2の計9件の候補が寄せられた。表彰式は5~6月頃に開く予定の同学会総会で行う。

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