2019年4月22日付

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ピンクの雲海が広がっているようだった。伊那市高遠町の高遠城址公園。16日、ヘリコプターに乗って満開の「天下第一の桜」を上空から撮影する貴重な体験をした。緊張に興奮と感動が加わる。カメラを持つ手が震えた▼春の大雪に見舞われてひやりとしたが、赤みを帯びた美しい花が無事に咲きそろった。市振興公社の桜守による地道な管理のおかげでもある。この週末も多くの花見客が訪れ、花の密度や幾重にも続くピンクの回廊に感動していた▼城址公園の桜は1875(明治8)年、高遠藩の旧藩士たちが「桜の馬場」から移植したのが始まりとされる。現在約1500本あり、樹林は1960(昭和35)年に県天然記念物の指定を受けた▼タカトオコヒガンザクラは平成に入って名付けられた。旧高遠町で90(平成2)年に開かれた国際さくらシンポジウムで、桜研究会の会長を務めていた故林弥栄氏が命名した。マメザクラとエドヒガンの交配種の一系だが、高遠固有の貴重種とされた。今年の取材で「平成の最後に高遠の桜を見られて幸せです」との声を聞いた。高遠の桜は平成の時代も人々をひき付けた▼城址の桜は老木になっている。史跡保護の面から植え替えたり土壌をいじったりするのも難しい。新たな時代には高齢化が進展する。平成最後の高遠城址の桜を目に焼き付けるとともに、特別な桜のこれからに目を向けたいと思っている。

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