2019年05月20日付

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応援している人がいる。この人を見ていると、「常識」や「正解」とは何なのだろうと思う。アーチェリーの山本博選手だ。あと1年少しに迫った東京五輪で金メダルの夢を追う。肉体の衰えと戦い続ける56歳は、自称「世界一諦めの悪い男」だ▼過去の五輪では銀と銅のメダルを得た。今は大学の教授。競技界の重鎮として存在感は大きい。もう現役を退いて、後進の指導に…と思うのは筆者のような凡人の選択だ。常識にとらわれることが嫌いだという。「誰かが突破口を開いていく。もう年だから、という思い込みをしてるとしたら、その人たちに対してメッセージを発信したい」と語る▼女優柴咲コウさんの言葉にも、はっとさせられた。赤ちゃんの虐待死を通じて、家族の在り方を問うテレビドラマ「坂の途中の家」(WОWОW)に主演している。被告の母親はなぜ虐待をしたのか。どうすれば防げたのか。子育てにおける「常識」や「普通」とは何か▼柴咲さんはこうした疑問に明確な答えは出さないのだという。時事通信の取材に「私が『正解』を作ると、またそれに縛られる人もいる。みんなで考えるきっかけになってほしい」と答えている▼山本選手のような強い人は稀だ。多くの人は常識や正解、普通であることにとらわれて生きている。柴咲さんはこうも言う。「『普通』とは誰にとっての『普通』なのか、一層考えるようになった」。

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