2019年06月16日付

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ベトナム戦争の従軍取材などで知られる諏訪市在住の報道写真家石川文洋さん(81)は「歩くことが好き」と公言する。65歳で日本海側を歩く列島縦断に挑んで踏破した。68歳になると、四国遍路の旅。病気に悩みながらも2年がかりで歩き通した▼著書に「歩いている間は誰にも束縛されない自由時間」と書き、その旅を実践してきた。列島縦断では北海道で同じ沖縄出身の男性と出会って酒を酌み交わし、青森の港では漁網を洗う女性の姿に引かれ、一心にカメラを向けた▼住民の日常に触れるのが信条だ。新潟では小さな田んぼの世話を喜びとするお年寄りと話し込む。福井では待っていた小学校の児童と交流した。四国遍路の旅でも多くの人に出会い、思いを広げた。自分の足で歩き、体で感じるだけに得るものは大きいだろう▼その石川さんが、今度は太平洋岸をたどる列島縦断の約3500キロを歩き、先週ゴールした。北海道から沖縄までを歩いて約11カ月。81歳の年齢を考えれば簡単な旅ではなかったろうが、「歩き続けて良かった。きょうが人生最良の日」という感想がまぶしい▼道筋の途中では、東日本大震災や熊本地震の被災地に足を向け、沖縄では基地問題で揺れる辺野古も訪ねたそうだ。石川さんにとって、今回の旅でどんな思いが深まったのだろう。きっと地域で踏破後の感想を聞ける場もあるはず。そんな機会が楽しみになる。

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