2019年7月9日付

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まさに十人十色。人の数だけ人生があるという感じだった。伊那市の中学校が地域の起業家を招いて行った「ふるさと伊那谷学」の授業。多彩な顔ぶれの29人が集まった▼料理人、デザイナー、カメラマン、大工―。はたからは分からない苦労はあるのだろうけど、自ら人生を切り開く姿は生徒ならずとも感銘を受ける。しかし、授業は起業家を育てることが目的ではない。多くの大人の価値観や生き様に触れ、自分の将来について考えてもらおうというもの。地域の人たちとの関わりの中で郷土愛を育み、やがて地域を支える人材になってほしい。そんな願いも込められている▼国立青少年教育振興機構が2014年度に行った調査で、「自分はダメな人間だと思うことがある」と答えた日本の高校生は7割を超え、米中韓と比べ突出して高かった。褒められた経験が少ないのだろうか。少しの失敗で自分を過小評価してしまう。そんな現代の若者像が浮かぶ▼起業家になるかどうかはともかく、人生には多様な選択肢があり、生き方がある。失敗も貴重な経験である。子どものうちからそんなことを学べれば自分を「ダメ人間」と思うことはあるまい▼キャリア教育と言えば、学生から社会人への円滑な接続という意味合いが強かったが、今はもっと広い意味で捉えるのが適当だろう。昨今の引きこもりやニートなどの問題解決への糸口があるのではないか。

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