2019年8月22日付

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しょうゆもの知り博士の米山弘さんの出前授業は、本物を教材に五感で学ぶ。香りを感じ取るための実験では、ホットプレートにアルミホイルを広げ、その上で少量のしょうゆを焼いてみせる▼教室がいい匂いでいっぱいになる頃を見計らって、どんな匂いがするのかを聞くのがいつもの授業の流れだ。大人なら、気の利いた言葉を探しながら、結局「香ばしい…」ぐらいで済ませてしまいそうなものだが、手を挙げた小学4年生の男の子の答えは「お祭りの匂いがする」だった▼しょうゆの香りは複雑で、分析機器で調べると、含まれている香りの成分は300種類にもなるそうだ。博士の質問に、その数だけ答えがあって当たり前だが、男の子の答えには脱帽だった。確かに、焦げたしょうゆの香りが屋台を想像させた。祭りの風景も浮かんできた。香りには記憶や思い出を引き出す力があるのかもしれない▼上伊那農業高校のコミュニティデザイン科GL(グローカル)コースの2年生が、伊那谷の活性化を考える学習「いな活プロジェクト」の第2弾で香りを取り上げた。身近なところにある植物を、香りとして暮らしに取り入れていく方法を、地域の人たちと一緒に学ぶ▼目指すのは”上農の香り”の開発という。卒業してこの地を離れたとしても、ふと学校のことや友達のこと、古里のことを思い出すきっかけになるような香りが出来上がればいい。

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