子どもの性被害防止条例が成立 淫行処罰規定盛る

LINEで送る
Pocket

県の「子どもを性被害から守るための条例」が1日の県会本会議で可決、成立した。修正動議を提出した共産党県議団の8人は処罰規定を含む規制項目の削除を求めて反対。自民党県議団の1人は採決を退席した。条例は子どもの性被害防止に特化し、人権・性教育の充実や被害者支援、県民運動推進などの総合的な取り組みを担保する一方、賛否が分かれた処罰規定を設けた。淫行処罰の規定を盛る条例を唯一持たなかった県が大きく方針を転換した。

罰則は、18歳未満を威迫し、欺き、困惑させて行う性行為・わいせつな行為に2年以下の懲役か100万円以下の罰金、正当な理由のない深夜(午後11時~翌日午前4時)の連れ出しに30万円以下の罰金を科す。処罰規定は約4カ月の周知期間を経て11月1日施行する。

県は今後、条例に基づく具体的施策の実施と成果が問われることになる。「学習指導要領の範囲内」の姿勢を崩さない小中学校での性教育の充実、認知度1割以下の「県民運動」の活性化など課題は山積する。

特に、慎重論が根強い中で盛り込んだ処罰規定は、規制を必要とした県側が根拠に挙げた「抑止効果」の有無や、自由な恋愛への影響を検証し、県が「増加している」とした既存法令では該当しない子どもの性被害の実態を把握する必要もある。条例は、施行後、必要があると認めた場合は「所定の措置を講ずる」とする「見直し規定」を置いている。

本会議で、修正動議を提出した共産党の藤岡義英氏は「条例案の罰則規定は県民的理解がまだ得られていない。若者が議論に参加できないまま成立されるのは大変残念だ」とし、「『威迫』『欺き』『困惑』の曖昧な条文そのものに冤罪の危険性が潜んでいる。性被害と同じように、心の中に乱暴に踏み込むことも冤罪もゼロにしなければならない」と主張した。

本会議後の会見で、阿部守一知事は「子どもたちが性被害に遭うことがないように、条例を基に取り組みを着実に進めていかなければいけないという責任の重さを改めて痛感している」と述べ、罰則については「必要最小限」と強調。3年余に及んだ検討・議論の過程を「(条例に頼らずに対応してきた長野県で)県民にも理解してもらう中で、一緒に取り組んでいこうという機運をつくっていく上で意味があった」と語った。

おすすめ情報

PAGE TOP