2019年10月10日付

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空の高いこの時期に思い浮かべる歌がある。〈宇宙の果てに/回り続けるこの星を/包んでいるのは/空という/やわらかな殻〉。南野薔子さんという方が詠まれた一首で、草壁焔太編「五行歌の事典」(東京堂出版)に収められている▼生命を育む柔軟にして強固な地球のシールド、大気を連想させる「やわらかな殻」という表現に引かれ、以前も小欄で引用した。地球を取り巻く大気を構成する成分は窒素が最も多く8割近くを占め、多くの生物にとって重要な気体、酸素の割合は約2割だという▼反応性が高い酸素はほかの物質とすぐに結合しやすく、大気中にこれだけ充満しているのは、絶えず供給してくれる光合成生物の存在があるからだ。同様に、すぐに分解されがちなメタンが大気中に含まれているのも、動物などが常にはき出しているからだという▼メタンといえば、二酸化炭素と並ぶ温室効果ガスの代表格。地球温暖化に及ぼす影響も大きいとされるが、げっぷによって大気中に排出されるメタンを減らすため、選択的な交配によって「低メタン牛」を増やす研究が欧州で進んでいるとの報道があり、注目した▼国内でも、肉を減らして野菜中心の生活にする「レス・ミート」「脱ミート」への関心が高まっているという。食を通じて環境を考える企業や消費者の取り組みを、本紙でも紹介している。目に見えない大気の重要性を再認識する。

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