2019年10月25日付

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「随筆 本が崩れる」(文春新書)の著書にある通り、うずたかく積み上げられた本に囲まれて暮らしていた文筆家の草森紳一は、家で読書をする時は断じて「寝転んで」読んでいた。本と共に人生のあった愛書家の、それが流儀だった▼読書と聞くと大上段に構え、何がしかの「効用」を求めたくもなるのだが、生活の中の読書はもっと自由なものであると、本にまつわる草森氏のエッセー「本の読み方-墓場の書斎に閉じこもる」(河出書房新社)は教えてくれる。本との付き合い方は各人各様だ▼読書はすぐれて内的な行為ではあるが、独りで黙読するという読み方が広がったのは明治の中頃以降。江戸時代後期には、一つの書物を討論しながら共同で読み合う「会読」という読書方法があったという。「読書=学問をすること」だった時代の読み方ではある▼本離れや出版不況がいわれる現代にも何人かが寄り合って本を読み合う読書会はある。他人の感想を聞いて理解が得られたり、面白さを共有することで感動に深みが加わったり。本を媒介にしてつながり合える読書会には、気ままな一人読書とは違った魅力がある▼弊紙上伊那版で、1969年の発足から半世紀にわたって活動する読書会「石楠花グループ」の記事を目にした。継続する力の源は仲間の存在だろうか。いろんな読書の仕方があっていいと了解できれば本との付き合い方も広がる。

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