霧ケ峰で暮らす半世紀 山小屋主人が書籍刊行

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山小屋生活をつづった本「あやなす歳月の譜―山小屋の窓辺から」と髙橋さん

諏訪市の霧ケ峰沢渡にある山小屋「ヒュッテ ジャヴェル」の主人・髙橋保夫さん(79)が、ここ5年間、山小屋で記し、心に残った人々や自然、自身の旅行記などをつづった本「あやなす歳月の譜―山小屋の窓辺から」を発刊した。標高1600メートル余の霧ケ峰では野鳥や草花が迎えてくれる一方、厳冬期の過酷な生活も伴う。本では山小屋を通して知り合った人々との交遊記や動植物の観察記のほか、霧ケ峰はかつて文化人が訪れた場所でもあると伝えている。

「霧ケ峰での暮らしぶりを、孫や子どもたちなどに残すことで、後の人たちに『昔の霧ケ峰』を知ってもらうことができれば」と考え、2015~19年に日々書き留めた随筆を月別に整理し、「山の1年」にまとめた。

「三月・春風、ときにカミユキ」から始まり、ここでは「春が今年は早いと予想していたけれど、どうやらあたったらしい。…しかし、マメザクラもミズナラの芽はさすがに固い」。「七月・百花繚乱」は「この時季は半月に一度は草刈に時間を費やすことが多い」とし、最終「二月・冬の嵐・春一番の吹く頃」では、ここ1週間ほど朝の気温が氷点下17度前後だった―と記す。

山小屋は父達郎さん(故人)が建て1952年暮れに落成した。「ヒュッテ ジャヴェル」の名付け親は詩人の尾崎喜八だった。本では、山小屋に喜八ファンが訪ねて来て歓談したほか、雪かきボランティアも遠方から訪れてもらった―とつづり、自ら旅した国内外での思い出もページを割いて紹介。回想シーンも登場する。

「過去に霧ケ峰の草原に足跡を印した三人の先人たち」として歌人の島木赤彦、植物学者の武田久吉、文人の長塚節を挙げ、こうした文人墨客や、グライダー、御射山信仰、草原の成り立ちなど、霧ケ峰の「文化の堆積」を取り上げれば、霧ケ峰は一層重み、深みのある山になるに違いない、ともする。

髙橋さんは「自然が描く山の環境に暮らしてから半世紀余りが過ぎた。我々現代人が忘れてはならないことが、山の暮らしの中に多々ある。(本が)霧ケ峰の姿を考える上で手助けになれば」と寄せる。

A5判、320ページ。400部作った。定価1800円(税別)。問い合わせはヒュッテ ジャヴェル(電話0266・58・5205)へ。

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