2019年12月05日付

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日本野鳥の会諏訪支部長の林正敏さん(75)が作った大きな鳥の模型を見たことがある。硬い厚紙を使っていて、翼を広げた長さは2.2メートル。大人が両手を広げたのよりはるかに大きい▼モデルになったのは、「グル」の愛称が付いた国天然記念物のオオワシだ。1999年1月、諏訪湖の横河川河口近くで衰弱しているのが見つかり、林さんが保護した。自宅で世話をすること49日間。回復を待って自然に戻された。以降、一昨冬まで19季連続で冬になると諏訪湖に飛来した▼いつしか、諏訪の冬に欠かせない存在になった。黄色く大きなくちばしと白い斑紋が入る黒褐色の体。雄姿を見たいと湖畔に人が集まる。まるで恩返しするかのように毎冬飛来する感動。作家のエッセーに登場し、湖の環境を考える題材にしたり、強い生命力を闘病の励みにする人もいた▼その「グル」の飛来が昨冬途絶えた。全国的に冬の渡りが少ない年で、食物連鎖の頂点に立つオオワシも南下せず途中地で留まったのか。事故で命を落としてしまったのか。姿を見せなかったのには、そんな理由が考えられるという▼推定25歳。林さんは「まだ寿命ではないはず。長年の飛来が途切れたのを考えれば再び来る可能性は20%以下と思うが、期待して待ちたい」と話す。例年、諏訪湖に姿を現すのは、寒さが厳しくなる12月中旬ごろから。林さんだけでなく、誰もが心騒ぐ今冬である。

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