2020年1月11日付

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お年寄りの期待のまなざしが集まる中、生徒たちは息を合わせてハンドベルの音色を響かせた。一音ずつ慎重に、丁寧に奏でる姿に大きな拍手が湧いた。諏訪養護学校の高校生と富士見町内のお年寄りの交流会での一幕▼同校は今年度、地元高校内に分教室を開き、地域の中で多くの人と交わって社会経験を積む教育に大きく踏み込んだ。入学生は5人。通常の教科学習に加えて週2日は農作業や手工芸の作業、1日は町内の企業や店舗などで就労実習に取り組んでいる▼生徒たちはミシンがけや調理の包丁さばきなど、今どき大人も腕前が怪しい作業を上手にこなす。就労実習は一日がかり。大人に交じって、さぞ気疲れするだろうに「つらさの片りんも見せない」と若林栄祐教諭。「どんなに忙しくても意欲を持ち続けるパワーがすごい」と舌を巻く▼先の交流会も学習の合間を縫って準備を重ね、熱演とスキンシップでお年寄りの笑顔を引き出した。生徒がそれぞれ持ち前のペースと得手を生かし、不得手を補い合う姿、お年寄りと生徒が手を取って笑う姿はごく自然で、「他者を認めて受け入れ合う」とはこういうことか―と胸に落ちた▼障がいを理由に多くの命を奪われた相模原市の知的障がい者施設殺傷事件。亡くなってなお記号で呼ばざるを得ず、その遺族さえ、平等たる法廷についたてを置かねば尊厳が守れない社会のありさまを深く憂う。

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