2020年3月7日付

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ドラッグストアには開店を待つ人が列をなしている。どうしてもマスクが必要な家族を抱えているのだろう。切実さが胸に迫る。医療機関のスタッフさえ、1枚の紙マスクを消毒しながら1週間も使い続けているこの事態。正直、想像だにしなかった▼物があふれるほど豊富な社会も、極端な消費行動でたちまち混乱に陥るもろさを露呈した。ガーゼに消毒薬、果てはトイレットペーパーまで品不足が波及。個々にとっては少しの焦りと一応の備えのつもりが集積すればあっけなく均衡を崩す。過剰な意識と危機感が募って人心も乱れる▼「備えあれば患いなし」の言葉が身に染みる春になった。私たちは9年前のこの時期にも大きな教訓を与えられている。東日本大震災では、さまざまな品不足も含めて有事への備えの大切さを痛感したはずだった▼あの時に受けたショックと犠牲の大きさは決して忘れていない。無論、備蓄の大切さも理解し、最も容易な防災の初歩でもある。なのになかなか実行を伴えない。マスクだってその一つ。今度こそ次への備えに生かしたい。「後悔先立たず」という言葉もある▼卒業までの思い出作りの時間を失った子どもたちも心残りを感じているだろうか。友達に伝えたかった本心、完成させたかったことなど。非常時はさまざまな「大切さ」を知る機会でもある。きっと「今に最善を尽くす」心も奮い立たせてくれる。

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