海外派遣前訓練を延期 協力隊事業の開始以来初

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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国際協力機構(JICA)が、青年海外協力隊やシニア海外協力隊などの隊員候補生400人近くを対象に4月下旬から行う予定だった海外派遣前の訓練を延期することが23日、分かった。JICAが長野日報社の取材に明らかにした。150以上の国・地域が日本からの渡航者を対象に入国・入域制限措置を取る現状や、訓練先でクラスター(感染者集団)が発生する可能性などを鑑みて決定した。1965年の協力隊事業の開始以来、訓練の延期は初めてだ。

訓練は、国内に二つあるJICA訓練所で実施。協力隊の活動に必要な知識や能力の養成を目的としており、隊員候補生が合宿形式で外国語や異文化理解などの学習に取り組む場となっている。70日間の日程を修了するとJICAが正式に協力隊員と認め、世界各国へ派遣する。

JICAによると、訓練延期の対象となる隊員候補生は、アジアやアフリカなどの67カ国へ派遣を予定している20~60代の372人。このうち34カ国へ派遣予定の176人が、駒ケ根市のJICA駒ケ根青年海外協力隊訓練所で訓練に励む計画だった。

JICAは当初、4月23日~7月1日を訓練期間としていたが、初日を6月1日に変更した。情勢を見極めた上で4月にも再延期を検討する。各国への派遣も7月中旬から8月中旬にかけてを予定していたが、白紙となった。

同訓練所の清水勉所長は取材に、訓練の延期を「必然的な結論だったと思う」と述べつつも、悔しさをにじませた。9月2日からは別の隊員候補生たちの訓練が始まる予定だが、「世界での感染状況が半年後にどうなっているのかが見通せない。訓練や派遣を延期する可能性はある」とした。

4月からの訓練開始を前提に休職・退職などして準備を進めていた隊員候補生もいるとみられる。JICA広報室の担当者は、訓練を受ける時期の変更など「一人ひとりの事情に合わせた対応をする」としている。

協力隊をめぐっては、3月下旬から4月上旬にかけて派遣予定だった隊員309人の派遣延期がすでに決まっており、現在、国内で待機中だ。また、JICAは76カ国で活動中の隊員約2000人の一時帰国を進めている。協力隊の活動は事実上の中断を余儀なくされ、再開の見通しは立っていない。

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