2020年03月28日付

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春を象徴する花は数あれどなぜ日本人はみな桜を愛しているのだろうか。四季がはっきりとした日本では、厳しい冬を越えて咲く淡くかれんな花に人は心引かれ、散り際の美しさに心揺さぶられるからなのだろうか▼花見のルーツは奈良時代とされ、当時は貴族が中国伝来の梅の花を観賞するものだったが、平安時代に桜を観賞するものへと変化したという。いずれにせよ古来から現代まで花見は春の訪れを喜ぶ風習として愛され続けている▼今や全国各地に桜の名所が存在し、花見が浸透。隅田川の堤防も名所の一つ。江戸時代に徳川吉宗の指示で植えられたとされ、花を見に来る人で土手が踏み固められて堤防が強固になるという治水対策だったようだ。全国の河川堤防に桜が多いのは、こうした背景が関係しているという▼しかし現在、堤防の桜は危機にひんしている。河川法という法律の高い壁が立ちふさがり、寿命が来た桜の植え替えが容易にできないことが原因だ。早咲きで有名な伊豆の「河津桜」も、同様の理由で危機にあるという▼日本には「国花」の定めはないが、多くの人が日本を代表する花に桜を挙げる。毎年花の季節を楽しみにしているが、今年は新型コロナウイルス感染拡大でお花見イベントは軒並み中止。打撃を受けて悲鳴を上げる観光業者は多いが、厳しい冬を越える桜のように、この厳しい現状をどうか乗り越えてほしいと願う。

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