備えは今 豪雨災害10年[5]情報伝達

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災害情報のほか、特殊詐欺の被害防止、行方不明者の目撃情報集め、熱中症への注意喚起などが必要に応じて配信される「防災メール」

災害情報のほか、特殊詐欺の被害防止、行方不明者の目撃情報集め、熱中症への注意喚起などが必要に応じて配信される「防災メール」

「なぜ土石流が」。2006年7月19日早朝、岡谷市の危機管理室長だった小口明彦さん(63)=谷市成田町=は次々と舞い込む市内各地の被災情報にあぜんとした。警戒していたのは天竜川や諏訪湖に流れ込む河川の増水だったからだ。市が災害対策本部を設置したのは土石流の発生後で、後手に回った。

「もっと早い段階から警察、消防、電気やガスなどライフラインを支える事業者と積極的な情報交換を行う態勢が築けていれば」と小口さんは悔やんだ。災害復旧がひと段落したのを受け、市は災害を教訓にソフト面の防災体制強化に乗り出した。

各区と市の連絡体制では、市職員を居住区などの「地域連絡員」に指定し、災害発生時に市と区が円滑に情報を共有できるようにした。

情報伝達では、屋内にいても屋外スピーカーからの防災行政無線の情報が伝わるよう防災ラジオの普及を目指した。地元ケーブルテレビ局の加入世帯が視聴できる行政チャンネル「シルキーチャンネル」では、通常番組放送中でも気象や災害情報が必要に応じて表示される。こうした取り組みは現在の市の防災体制の基礎となっている。

さらに市が今、普及に力を入れているのが防災メールの配信サービス。登録者のスマートフォン、携帯電話に災害情報が直接メールで届く。市危機管理室の小口智弘室長(57)は「情報を市民にどう届けるかはとても重要。一定の年齢以上の人はほとんどが携帯電話かスマートフォンを持ち、情報を確認する機会も多い。もっと防災メールを積極的にPRしたい」とし、各種イベントなどで登録を呼び掛けている。登録者は4853人(21日現在)で「まだまだ少ない」。今月中には市内11カ所の雨量計の観測データを市ホームページで発信するサービスを始める予定で「避難準備の判断材料にしてほしい」とする。

この10年で情報の収集、発信体制は確かに強化された。それでも小口室長は「災害時の行政対応には限界があることを知ってほしい」と望む。「日ごろから自分の身は自分で守る意識を高め、そして近所同士や地区同士で助け合う関係構築に取り組んでもらいたい」と求めている。

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