岩波其残の交友関係に注目 山田さん夫妻発刊

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交友関係に注目し其残の実像に迫った「『信濃 其残の住所録』」を発刊した山田さん夫妻

諏訪市出身の俳人で、俳画や楽焼など多彩な活動を繰り広げた岩波其残(1815~94年)。幕末から明治中期に生きた其残の交友関係に注目し、その実像に迫った「信濃 其残の住所録」を、其残と血縁のある同市小川の山田昭彦さん(65)、貴子さん(59)夫妻が発刊した。其残が付き合っていた俳人の子孫を中心に作品の所蔵先などを尋ね、そこから其残の真の姿を浮き彫りにしている。

昭彦さんは祖父の故山田茂保さんらの影響で若い頃から其残に関心を持ち、川崎市出身の貴子さんも次第に興味を募らせた。共に一昨年3月まで神奈川県立高校で教諭を務め、昭彦さんが退職後に古里へ移住した。同年、夫妻は茅野市出身の俳人・小平雪人が書いたとされる伝記を復元し、「『其残翁伝』の世界」を発刊した。

その踏査研究の過程で、其残が多くの人たちにゆがんだイメージで捉えられていることを実感。本人が常に携帯して書き込みや貼り込みをしていた「俳人住所録」の存在を知り、友だち付き合いの観点から人となりを垣間みることを試みた。

交友のあったとされる俳人は県内全域に及んでおり、今回は中南信を中心に唐沢素残=箕輪町=、越山司松=大町市=、西沢琦峯=飯田市=らを踏査。また其残門の実力者守屋雪残=諏訪市=、サポーター的存在の紫金桃=下諏訪町=などの子孫にも聞き取りを行った。本誌は交友関係者の俳号、居住地、生没年表などを一覧表にまとめ、子孫から得た情報やエピソードも紹介している。ボリュームあるグラビアは本文へ分かりやすく導いている。

昭彦さんは「友人のほとんどが土地の有力な文化人教養人で、多様な力を持った魅力的な人たちだった」とし、「其残自身が測量図、砲術指南、舞、従軍記者などにも精通、つかみどころがない複雑さが故郷では理解されず『いいかげんな人』と受け止められたが、実は『良い加減の人』だった」と考察。「今後200年、300年のうちに必ず多くの人の心をつかむと思う」と話している。

カバー絵は雪残のひ孫・竹之内優子さん=東京=、カットは素残のひ孫・武居京子さん=箕輪町=が担当した。長野日報社発行。A4判。190ページ。定価3000円(税込み)。問い合わせは山田昭彦さん(電話0266・55・6470)へ。

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