2020年4月11日付

LINEで送る
Pocket

県議会の議長応接室に書家の川村龍洲さんが筆を振るった「衆心成城」の書が掲げられている。「衆心城を成す」と読み下す。多くの人が心を合わせれば城のように堅固であることを意味し、協力の重要性を説いていると解説が付いている▼春秋時代の中国を扱った歴史書「国語」の中の「周語下」が出典。実はこの後に「衆口鑠金(衆口金を鑠かす)」と続く。民衆の言葉には金を溶かすほどの大きな力があるとの意味だ。「新釈漢文大系」によると「衆心成城」と「衆口鑠金」を合わせて、民衆の力を畏れるよう王をいさめるために引用されたことわざだという▼資産を無駄遣いし、民を疲弊させてまで大きな鐘を鋳造した周の国の王に、官僚の一人が「恨んでいない民はいない」と嘆いた。民が好むものなら成就しないことは少ないが、民が憎むものは廃れるのだと指摘して、このことわざを示したとされる▼「衆口鑠金」とは、悪いうわさがうわさを呼び人心が乱れると、民の声が国を傾けるほどに力を持つことを表しているそうだ。新型コロナウイルス感染症の拡大により、人々の心がざわついている最近と重なるところがある▼一方で、民の心には城を築くほどの力があるともいう。「衆口鑠金」も良い方に捉えれば、民の声には世の中を明るく変えていく力があるのだと考えることもできる。希望を失うことなく、心を落ち着けて日々を送りたい。

おすすめ情報

PAGE TOP