社会的弱者に大きな影響 新型コロナの対策急務

LINEで送る
Pocket

新型コロナウイルスの感染が広がり、視覚、聴覚障がい者やその支援者が大きな影響を受けている。感染拡大防止が大きな課題となる中、仕事の大幅な減少や、マスクの着用によるコミュニケーションの難しさ、最新の情報が取得できないなどの困難に直面する。社会的に弱い立場にある人を守る支援や対応策が急がれる。

利用者減少 先見通せない
「伊那谷でも感染者が出るなんて。もう外出を控えるしか」。視覚障がいを持つ飯塚政幸さん(67)=伊那市西春近=は不安を口にする。手で触った感覚を頼りに生活しているため、危機感がいっそう強まる。ヘルパーらが同行する食料品の買い出しすら、回数を減らす日々が続く。

自宅ではり・きゅうマッサージの治療院を営み、生計を立てている。利用者は通常時の半分近くに減少。県外からの常連客も通い、感染症の恐怖と隣り合わせで営業を続けている。「先が見通せない。こんな状態がいつまで続くのか」と漏らし、「助成や支援策を早急に考えてもらえたら」と訴える。

通訳者不在や会合の中止
市伊那図書館を拠点に活動する音訳ボランティア「鈴音の会」。上伊那地方の会員26人は、同館の休館に伴い、当面の活動を休止した。これまで長野日報の記事などを朗読してCDに録音し、視覚障がい者に届けてきた。代表の清水光子さん=南箕輪村=は「高齢者の多くはインターネットを活用できず、感染症などの地域情報が入らなくなってしまう。朗読がしばらく途絶えてしまうのは心苦しい」と思いやる。

「すごく困っている」。自身もろう者で上伊那聴覚障害者協会長を務める樋口正大さん(77)=宮田村=は、新型肺炎に関する最新の情報が入手できないとし、困惑の表情を浮かべる。政府などの記者会見で手話通訳者が登場しない場面があるほか、情報交換の場になっている障がい者同士の会合は軒並み中止に。必要な情報が途絶え、もどかしさを感じている。

感染予防策として、街ではマスクを着用する人が増えた。コミュニケーションを取るには手指だけでなく口の形から得る情報が必要とされ、「口元の動きをまったく読み取れない。相手の表情も分からない」と肩を落とす。

医療機関とのやりとり危惧
樋口さんは、感染症になった場合、医療機関とやりとりできるのか危惧している。自分で電話することは難しい上、ファクスを使って文章で症状を詳しく伝えることもままならない。メールで手話通訳者や家族に連絡するのが精いっぱいという。

市社会福祉課の久保田玲課長は「障がい者が少しでも安心できるよう臨機応変に対応し、支援をしていきたい」としている。誰もが不安を抱える非常事態。支えが必要な人たちにどう目を向けていくか問われている。

おすすめ情報

PAGE TOP