2020年5月12日付

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セイコーエプソンで総務部長兼広報部長を務め、諏訪市議会議長や諏訪市観光協会(現諏訪観光協会)会長を歴任した故河西保美さんは生前、「観光業を工業と共生させ、工業に続くもう一本の柱にしたい」と話していた。市議に初当選した1999年から2期8年、その主張を貫いた▼戦後の精密機械工業は地域発展の原動力となり市民の誇りになった。しかし平成に入ってバブルが崩壊し、地域全体が閉塞感に包まれていく。河西さんは「観光業の復権は焦眉の急である」と唱え、観光振興の重要性を繰り返し訴えた▼感染症のまん延を受けて、8月15日の諏訪湖祭湖上花火大会と9月5日の全国新作花火競技大会の中止が決まった。多くの地元企業が協賛金を寄せる諏訪湖の花火大会は、観光業と工業の共生の象徴であり、市民の誇りでもある。取材を通して改めて感じた▼新作花火の拡充に力を注ぎ、夏の諏訪湖で花火を連日打ち上げるサマーナイトファイヤーフェスティバル(現諏訪湖サマーナイト花火)を発案した河西さん。仲間や関係者と協力して「諏訪湖の花火」を全国銘柄に育てた▼1949年、戦没者を追悼し、市民が希望を持って立ち直ることを願い始まった諏訪湖の花火。その輝きは社会のために身をささげた人々の情熱の結晶でもある。人類が永遠に記憶するこの災禍を前に、ともに生きる「共生」という言葉が重く響いている。

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