創刊者・市川一雄さん追悼 「窓」第8号発刊

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市川一雄さんを追悼する同人誌「窓」8号

「広く文芸の試みをする場」として2013年創刊した同人誌「窓」の第8号(窓の会発行)が発刊された。昨年4月に84歳で亡くなった同誌創刊者の市川一雄さんを追悼し、故人と親交があった15人が寄稿。文学愛好者の輪を広げた市川さんに感謝、その生涯をしのんでいる。

市川さんは諏訪清陵高校卒業後、地方紙・湖国新聞編集長を経て編集工房「あざみ書房」を創設。短編小説集「四王湖岸」など諏訪地方を題材にフィクション、ノンフィクションを多数執筆、編集した。中でも膨大な資料を基に、信州の岡谷が日本の製糸業一大集積地になった経緯や、生産の主役だった工女たちの群像を描いた労作「岡谷製糸王国記」は、糸都岡谷の諸相が多角的に描かれ、郷土愛がにじみでていると増刷に至った。

一方で下諏訪町議、新田次郎顕彰会諏訪こぶしの会会長、諏訪市文化財専門審議委員、下諏訪町文化財専門委員などを務め、地域文化発展に寄与した。

寄稿者は同人や信州文芸誌協会加盟誌のメンバーら。エッセイストで小説家新田次郎の長女藤原咲子さん=東京都武蔵野市=は、すでに病魔と闘っていた最後の電話を回想。「弱音を一切吐かず、常に次回作を熱く語っていた最後の電話は、秋風索寞の風景の中に残像している」と追悼。「岡谷製糸王国記」の執筆に関わった鮎澤宏威さん=諏訪市=は、出会ってからの14年間の交流を語った。

「窓」の発行人を務める三井夏海さん=千葉県市川市=は、「いずれの文中からも市川さんの生前の存在感が表れ、故人に対する熱い思いが伝わってくる」と協力に感謝。三井さん自身も市川さんとの関わりをノンフィクション的にまとめた「始まりと終わり」を発表した。

8号には小説、伝承、木版画、ノンフィクション、エッセー、研究発表なども収録。A5判154ページ。頒価700円。問い合わせは三井発行人(電話090・8588・0543)へ。

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