2020年6月7日付

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演劇やスポーツの大会、音楽イベントなど、新型コロナウイルス感染症対策が進められる中で「不要不急」とされて中止や延期を余儀なくされたものは数多い。将棋の対局もその一つだが、長距離移動を伴う対局が再開して間もなく歴史に残る記録が生まれた▼最年少棋士、藤井聡太七段(17)が棋聖戦への挑戦権を獲得し、タイトル戦出場史上少年記録を更新した。便利なもので挑戦者決定戦はネットで中継された後、録画が配信されている。観戦すると、76手目までは五分五分だった人工知能(AI)の形成判断が、対局相手の永瀬拓矢2冠の次の一手で急転し、藤井七段の8割勝勢へと傾いたのが印象的だった▼最近、ネットで中継される対局はAIによる形成判断や次の有力な手が表示されることが当たり前のようになっている。おかげで駒の動かし方ぐらいしか分からない素人でも、より対局が楽しめる▼AIの出した答えに対してプロが正解するか間違えるかと、クイズの答え合わせを見ているようで違和感もあるが、AIとはまったく違う手で藤井七段が優勢を保つ場面もあって、それはそれで楽しい▼AIがなくとも対局の価値は下がりはしないが、あれば楽しみに厚みが増す。将棋そのものもそうだ。「不要不急」とされたさまざまな事は、なくなって困るわけではないが、ずいぶんと味気のない日常であることに気づかされているこの頃だ。

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