2020年10月1日付

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日本で一番売れている国語辞典こと「新明解国語辞典」が9年ぶりに改訂される。11月の発売に先立って出版社が公開している序文に目を通すと、今回の改訂では新型コロナウイルス関連の新語が増えたといい、「全員の命に関わる事柄なのに、一部の人にしか意味の分からないカタカナ語が多用される」と編者のため息が聞こえそうな一文があった▼手元の第7版に収録されている過去の序文を読んでいくと1997年の第5版で初めてカタカナ語に言及があり、「世の外来語ラッシュに動ぜず」に慎重な態度を取って来たものの読者の要求に応えるため方針を少し見直して、ある程度は追加したとある。頑固な編集方針だ▼ところが、第6版では「外来語を歓迎する風潮は衰える気配もなく」、第7版では「日本語の将来像を思い描くと看過できない問題であるが(中略)事態をもうしばらくは静観せざるをえないだろう」と、どうも版を重ねるたびに弱気になっている感が否めない▼第8版では「刺激を与えるためという効用を仮に認めたとしても」とカタカナ語の使われる理由に初めて踏み込んでいる。「感染集団」より「クラスター」という耳慣れない言葉の方が注意を引かれやすいのは確かだ▼ただ、行政の作る文書にしろ広告にしろ、刺激を与えたいばかりに新しいカタカナ語を増やす速度が増し続けてはいないか―ともやもやした気持ちが残る。

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