2016年08月13日付

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「これ以上国民を塗炭の苦しみに陥れるのは、私の欲していないところである」。71年前の1945年8月10日未明、皇居内の御文庫付属地下防空壕で開かれた御前会議。政府がポツダム宣言への対応に苦慮し、広島、長崎への原爆投下、ソ連軍の満州侵攻などで後がなくなる中、昭和天皇が「終戦の聖断」を示したとされる▼遅ればせながら先日、テレビ放送された映画「日本のいちばん長い日」を見た。原田眞人監督の昨年公開された作品だ。政府と天皇が正式に降伏を決めた14日の御前会議から、玉音放送で国民にポツダム宣言受諾を知らせるまでの24時間を描いている▼「聖断」に至る天皇の姿や、国体護持をめぐる政府や軍部の思惑、葛藤、抗いなどもさることながら、敗色濃厚な状況でなおも「日本人全員が総玉砕の気持ちで2千万人が特攻となって戦えば、日本は必ず勝利する」と信じ、必死で訴える軍部の“狂気”が印象に残った▼原作本を著した半藤一利さんが、政府や軍部などに所属していた30人との座談会を収録した「日本のいちばん長い夏」(文春新書)には当時を振り返る証言が並び、玉音放送は軍部への「御言葉」だったという指摘もある▼理性や判断力を奪う戦争は怖い。悲惨で愚かな過ちを繰り返さないために常に想像力を働かせ、戦争の記録や証言を教訓に考え続ける努力を欠かしてはならないとの思いを強くした。

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