2020年12月30日付

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ゆく年の回顧に少しばかり時間を割いてみる。新型コロナウイルスに恐怖した2020年。誰もが対策に腐心し、公私とも制限だらけの日々を過ごした。生涯記憶に焼き付く重大な出来事となった。しかし、大切な事はほかにもあったはずだ▼当代一の天体望遠鏡に名を冠する、天文学者エドウィン・ハッブル。約100年前の12月30日、われわれの生きる銀河系の外にもさらに別の銀河が存在すると、世紀の大発見を論文で示した。彼の視線は常に上を向き、遠い宇宙や未来をとらえていた▼何かと暗い話題が続く中、年末に一筋の光が差し込んだ。宇宙探査機はやぶさ2が小惑星の岩石採取に成功し、収納カプセルを地球に帰還させた。関係者の不屈の情熱が成し遂げた、生命の起源をめぐる科学の快挙に世界が沸き立つ。歓喜が恐怖を超える瞬間が、確かにあった▼地域のイベントが軒並み中止となり、産業停滞が叫ばれたとき、うつむきがちな住民が目にしたのは夜空に咲いた花火だった。子どもたちがグッズを売り出し、大人もさまざまに善意を寄せ合って資金を用立てた。負けてたまるか。思いはきらめく大輪に託され、一つになった。それこそが、みんなで手にした大切な事である▼来たる新年もコロナの猛威は続くだろう。でも下を向いていては前へ進めない。諦めずに空を見上げ、工夫を凝らし、支え合おう。希望の光は頭上から差してくる。

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