2021年1月4日付

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大型店での初売りの取材を終えて、専門店が並ぶフロアを歩いていたときのことだ。突然名前を呼ばれ、振り返ると、店員姿の若者がいた。性能が悪くなってきた記憶回路を総動員している最中に「覚えてますか」と問われ、つい「もちろん」と答えてしまった▼マスク越しだったので、すぐに―とはいかなかったが、話し始めて思い出した。取材したのは彼女がまだ定時制の高校に通っていた頃で、学校の行事の取材で何度か話を聞かせてもらったことがあった。あれから何年もたっていたが、名前まで覚えていてくれたなんて驚きだった▼言葉や表情に自信を感じると思ったら、「私、店長になりました」。なんだかうれしくなった。当時の記録をひっくり返してみると、働きながら学校に通っていた頃の彼女のコメントに「お客さんへの気遣いだけでなく、一緒に働く人への気遣いも大事だと気付いた」とあった。店長になったのも当然の結果だろうと想像した▼ウィズコロナ時代は取材もまた、新しい生活様式を踏まえたものになっている。会って話を聞く時には要点を絞って短時間で済ませるように注意するし、リモート取材をすることもある。その分、切り込みが浅くなっているのかもしれない▼だが取材は貴重な出会い。制約はあっても、いい意味でいつまでも覚えていてもらえるような接し方をしなければ、と思う。元日の再会が教えてくれた。

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