中村不折の足跡たどる企画展 県立歴史館

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中村不折をテーマにした県立歴史館の企画展で並ぶ「裸体習作」=8日、千曲市

県立歴史館(千曲市)は9日から、伊那市高遠町ゆかりの洋画家・中村不折(1866~1943年)の企画展を同館で開く。「洋画家・書家・コレクター 中村不折―伊那谷から世界へ」と題し、油彩画や書、書道資料のコレクションなど計72点を展示。多分野で活躍した不折の足跡をたどる。多くが不折が創設した書道博物館(現台東区立書道博物館、東京都)収蔵品で、県内では見ることができない品ばかりだ。2月21日まで。

不折は幕末の江戸に生まれ、少年時代を高遠町で過ごした。苦学して絵などの修行を重ね、夏目漱石や島崎藤村らの作品の装丁・挿絵、銘菓「新宿中村屋」や諏訪の老舗酒蔵「真澄」を揮毫した書家としても知られる。また、書風の研究のため熱心に書道資料を集め、資料を収蔵公開する書道博物館の創設もした。

企画展は「すべての業績を凝縮した内容」(同歴史館)で構成した。装丁などの作品の他に、仏国留学で学んだ人体画の「裸体習作」、不折の名前を一躍高めた独自の書体の「龍眠帖」、収集品で古代中国・殷時代の「甲骨文」(いずれも書道博物館蔵)を紹介。代表作で信州高遠美術館蔵の油彩「卞和璞を抱いて泣く」も並ぶ。

また、正岡子規とのつながりで新聞挿絵を手掛け、その第一人者とも言われていて、新聞「小日本」掲載の挿絵「水戸弘道館」(日本新聞博物館蔵)などを展示。明治三陸地震津波の被害を伝える記事や、日清戦争の従軍記者として訪れた中国でのスケッチもある。

8日に開かれた内覧会で同館の林誠学芸員(59)は「貧しい家庭で育ち、難聴も乗り越え、多分野で活躍した不折の業績を当時の文化とともに紹介したい」。来賓の白鳥孝・伊那市長は「現代に息づく作品を残した不折を、高遠の歴史とともに知ってほしい」と話した。

午前9時~午後4時。休館は11日を除く毎週月曜、12日と2月12日。観覧料(企画展のみ)は一般300円など。

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