2021年1月10日付

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厳寒期の諏訪湖。忘れられない御神渡り(御渡り)がある。1月末になって湖がようやく全面結氷し、立春の日に御神渡りが出現した。鏡のような湖面に氷の隆起が現れ、うねりながら対岸へ延びる。2月の出現は実に30年ぶりだった。最後の最後に待望の瞬間が訪れた▼2012(平成24)年のことである。広範囲が結氷することがありながら日中の強い風で氷が流されては壊された。一進一退、一喜一憂の冬だったが、1月末に氷点下10度前後の日が連続し、最強寒波による節分の同13.9度が決め手となった▼4季ぶりに出現した御神渡りは小さいながら美しかった。前年はほぼ全面結氷に至りながら発生せず、湖の監視を続けてきた八剱神社(諏訪市)の関係者だれもが「今年こそは」との思いを持っていた。報道陣も同じだった▼氷上拝観後の占定結果は「世相は厳しいながら明るい兆し」。前年に未曽有の大災害と原発事故に遭い、悲しみと不安が続く中、御神渡りに手を合わせて1日も早い復興と平穏を願う人々にも会った▼諏訪大社上社の男神が下社の女神のもとへ通った道筋と言い伝えられてきた。一昨季と昨季は不出現の「明けの海」。逢瀬叶わぬ冬が続いた。今季も小寒から八剱神社の湖の監視が始まった。先が見えない不安が覆う中、神秘的な自然現象の発生を明るい兆しとして受け止めたい。その願いが例年にも増して強い冬である。

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