2020年1月12日付

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「あと半年、この状態が続いたら店はだめですね」。都内の名店で修業し、22年前に帰郷して日本料理店を開いた板前の亀山昌尚さん(53)はそういって苦笑いする。つき出しからお造り、焼き物、煮物、蒸し物、甘味に至るまで、一から手作りの料理を出し、簡単には言葉に表せないほどの美味を提供する腕を、いまコロナ禍の影響で持て余している▼国内では新型コロナウイルス感染症の第3波が猛威を振るう。感染に歯止めが掛からず「コロナ疲れ」が蓄積して、ちまたでは感染に対する危機意識の希薄さも見え隠れする。国のコロナ対策は経済対策との兼ね合いでまごつく場面が多く、判断と対応が遅い▼昨年からの感染の変遷を見ると、対策を強化すれば感染者数も抑えられている。対策には効果がある。国は感染状況の分析や専門家の見解を参考に、もっとレスポンスを高めて隙の無いコロナ対策と経済対策の切り替えを実行すべきだ▼亀山さんは今季の忘新年会に掛けた。だが店のある広域圏内で感染者が出て、予約は全てキャンセルになった。10人前のフグも行き先がなくなった。それでも注文を受けた弁当を作りながら「お客さんには作り立ての温かな料理を食べていただきたいんですよ」という▼客からすればお店は居場所であり思い出の場所。無くなっては困る。今は感染予防に徹して収束に努め、一人で静かに料理を食べに行こうか。

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