2016年08月31日付

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諏訪大社御柱祭で元綱係を務めた人たちと話をする機会があった。御柱を制御する大事な役目だが、初めはムキになって終始力を入れていたから、腰や腕がひどく痛かったという。回を重ねてコツをつかみ、場面に応じた力の入れ加減が分かるようになった▼長丁場の祭りで役割をきちんと果たすには、この加減が大事なのだろう。決して手を抜くということでなく、力の出し入れである。「ここぞ」と力を込める場面を見極めるには経験や先輩の指導が必要だ▼山の安全でも、リスクの見極めが大事だという。関西大学の青山千彰教授によれば、山岳遭難は危険な場所よりも、むしろほっとするような所で起こることが多いそうだ。事故の半数近くが好天時で、比較的安全なイメージの土や植生の場所で起きている。雪道や鎖場は案外少ない▼でも事故が怖くて、終始緊張していては楽しくない。青山教授は本紙で「素人とベテランでは、同じ山道を歩いても目の付け所が違う。落ち葉の重なっている所や、岩、崖の近くなど、山の危険にはチェックポイントがある。リスクがある場所を見つける訓練が重要」と指摘した▼同じものを見ていても、初心者と熟練者では感じ取るものが違う。御柱祭や登山に限らず、何が大事かを見極めて、そこに全力を傾注することは難しい。結局はその道のベテランに教えを受けたり、見習って覚えることが一番なのだろう。

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