諏訪湖の底質40年前と比較 県環境研と信大

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県環境保全研究所(環保研)と信州大学は、諏訪湖の底泥の現在と40年前の違いを湖心、沿岸域の計11地点で調べ、結果をまとめた。底泥は富栄養化の目安となるリンが平均35%減った一方で同じ目安の窒素は平均16%増えた。ただ、窒素は調査地点によって増減があり、水草ヒシの繁茂域で増加が目立った。 栄養塩類(リンや窒素)の流入減が底質改善につながったとみられる一方で、40年前は少なかったヒシの近年の繁茂が窒素の増加につながった可能性がある。

諏訪湖に上流から流入した土砂や枯死した水草などが堆積して底泥となる。底泥の栄養塩類は湖水に溶け出し、水質にも影響する。1979年の諏訪湖流域下水道の供用開始で湖内への栄養塩類の流入は減少し、県の調査で水質は改善傾向にあることが確認されている。

調査は1978~80年に県衛生公害研究所(環保研の前身)が行った22調査地点のうち沿岸域9地点、湖心域2地点の計11地点を比較対象に取り上げ、2018年4~6月、10月に採取した底泥の状態との違いを比べた。沿岸域は環保研、湖心域2地点は信大が調査を担当。湖底の表面を乱さず、採取した泥を圧縮しない採取方法を採用した。

調査結果によると、リンは調査地点のすべての場所で40年前よりも減少。岡谷市、下諏訪町側の減少幅が大きかった。窒素は下諏訪町高木や諏訪市湖岸通りの諏訪湖間欠泉センター、同市豊田の諏訪湖流域下水道豊田終末処理場近くの沿岸域で増加。下諏訪町の古川沖や岡谷市の横河川沖の沿岸域で減少した。岡谷市の釜口水門近くではほぼ横ばいだった。

諏訪湖は1960年代以降、水質汚濁が著しく進み、アオコの大量発生による悪臭や景観の悪化などが社会問題となった。下水道の整備、工場排水の規制、住民らの湖岸清掃といった取り組みで近年は水質が改善した。一方でアオコの減少後はヒシの繁茂域が拡大した。窒素の増加地点とヒシの繁茂域はほぼ重なる傾向が見られた。

今回の比較調査結果について同大理学部付属諏訪臨湖実験所(諏訪市)の宮原裕一教授(54)は「諏訪湖の底質が改善しているとは言い切れないが、水質浄化に取り組んでも泥の中のリンが減らせずにいる湖沼が全国にある中で、諏訪湖でリンが減っているのは注目したい点」と話した。環保研は「流入する栄養塩類が減り、水質が改善しているにもかかわらず、底質の窒素が増加している要因を探るためには、さらに調査が必要」とした。新年度はヒシなどの繁茂域内と域外の底泥の状態を比べる調査などを行う。

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