2021年4月14日付

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言われるままにルームスプレーを斜め上に向けてひと吹きしてみた。空気が爽やかに変わっていくのがすぐに分かった。どこかで木の香りがした。伊那市高遠町の藤沢里山再生協議会が、地元の山に自生するクロモジとアカマツを使って試作した香りだった▼「延命香」と名付けた香りは、高遠石工が彫像したという地元の延命地蔵菩薩にちなんでいるそうだ。江戸時代からずっと地域を見守っているお地蔵様を長い間包んできたであろう森の香りを再現し、「この香りで長生きを」との願いを込めた▼昨年あたりから、さまざまな人たちが香りの開発や、商品化に取り組んでいる。出だしは地域資源の発掘であり、その活用だったと思う。だが実際に利用されているところをみると、時代が必要としていたのではないかと感じている▼香りの好みは人それぞれだが、いい香りだと思えば気分が良くなり、調子も出る。逆に嫌いな匂いだったら顔をしかめるし、仕事の効率は下がる。香りは目に見えないが、不思議な力を持っていると思う▼森林に囲まれて暮らした記憶で、「森の香り」や「木の香り」に安心するのかもしれない。ストレス軽減や精神安定など、リラックス度の改善に役立つ香り成分の存在も知られている。コロナ禍で、いろいろなことに不安を抱き、知らず知らずのうちにストレスをため込んでいる。今、香りの力が求められている気がする。

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