小中学校キャンパス化私案 辰野町長が撤回

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総合教育会議で学校キャンパス化私案の撤回などについて説明する武居町長(左)

辰野町の武居保男町長は4月30日に開いた町総合教育会議で、町立5小中学校を統合してキャンパス化する私案を撤回した。「町教育委員会との協議で体制、予算などの面から実現困難と判断した」とし、1月25日の発表から約3カ月の短期間で撤回に至った理由を説明した。これに伴い、キャンパスの一つに位置付けた川島小学校の存続に関しても、児童数増加の目標が達成できない状況を踏まえ「断念せざるを得ない」との考えを示した。

私案は小中学校を1学区制にして各校をキャンパス化。子どもが通学場所を選び、共通課程に加え自然やスポーツなど特色ある体験型の教育を進める―との内容だった。武居町長は賛否両論の意見が寄せられる中で、反対の意向を示した町教委と協議を行い、課題の整理を進めてきた。

武居町長は町民会館での会議で、各校に根付く独自の教育や校風を認め「キャンパス化には学校統合が必要だが、住民の合意形成は容易でない」と説明。コロナ禍における教育の安定も重視して「義務教育期間の子どもに、特化した学校を選ばせるのは難しいと考え直した」と述べた。

川島小の存続断念は、昨年度まで3年の「チャレンジ期間」に移住定住促進と合わせ児童数確保を図ったものの、微増にとどまったことが判断材料となった。「町教委と一緒に児童に寄り添う支援を考えたい」とし「川島の地に自然体験や住民交流など、学びの場を残せないかとも思っている」とした。同校の統廃合の日程には言及しなかった。

宮澤和徳教育長は「進路選択に生かす広い学びが制限される点や、膨大な人件費負担を考慮して私案は無理と主張してきた。悩んだ末の結論に敬意を表したい」とした。教育委員からは「多くの人が学校のあり方を考える機会になった」との意見もあった。

会議を傍聴した、住民団体「ふるさと川島未来協議会」の樋口博美代表(63)は「私案には夢があったので残念。町教委は子どもや保護者の声を聞く場を設けず、教育発展の可能性を閉じた」と批判。川島区担当の集落支援員の広瀬美由紀さん(37)は「住民議論がないまま結論が出てしまった。川島小の存在を移住の条件にする人が多く、このままでは地域が衰退する」と話した。

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