2021年5月11日付

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立ち止まり、しばらく目を凝らしていたが、ついに見つけることができなかった。山里の寺の境内だった。ホーホケキョと、目の前の枝のあたりから確かに聞こえる。きっと向こうからはこちらが丸見えなんだろう。そっと近づくと、今度は別の枝のあたりから聞こえてきた▼鳴き声だけは子どもの頃から知っているウグイスだが、いまだに写真や動画でしかお目にかかったことがない。今回も姿を見せてくれなかったが、新緑の山あいで、さえずりを楽しめただけでも幸せだと思って諦めた▼今年は桜の開花が記録的に早かった。夏鳥の飛来も早まっているかと思ったが、そうでもなさそうだ。中川村でのブッポウソウの飛来確認は5月2日で、昨季より4日ほど遅いと報じられていた。例年、大型連休中に飛来しているそうだから、平年並みといってもいいのかもしれない▼上伊那版では紙上探鳥会「耳をすませて鳥のさえずりに」が始まった。寄稿してくださったのは日本野鳥の会伊那谷支部長の吉田保晴さんで、森に鳥たちのシンフォニーが響く―と紹介していた▼ウグイスのさえずりを聞いた日、山里の寺を下った先の田んぼ道で、また足が止まった。土手がコロコロと鳴っているように聞こえたからだ。カエルだろうか。だとしたら相当な数だ。愛鳥週間に鳥のことだけでなく、鳥がすむ地域の環境を考えてみるのもいい。そう思って耳をすませた。

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