2021年6月29日付

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マスク越しでも一見して分かるほど、たくさんの笑顔に出会えた。辰野町で2年ぶりに開かれた、信州辰野ほたる祭り。実行委員会が挑んだ前例のない企画は、コロナ禍の社会においてイベントが目指すべき一つの形を示した▼実行委は、蛍の名所・松尾峡での観賞を町内関係者に限定。町外の希望者にはライブ動画を配信した。ワクチン接種の状況をみつつ、段階的に蛍の生息地を開放していくための一手である。人も蛍も守るという意思表示だった▼歩行者天国の代替策では、地元事業者の短期出店を企画。テークアウト方式で過密を避けながら、一定の客足を呼び込んだ。来場者も心得たもので、その場で飲食を始める無粋な行為はなかった▼何より好印象を受けたのは、祭りに積極参加する子どもや若者たちの姿だ。小中学生が蛍を題材に描いた絵を飾り、高校生は店のPR用のぼり旗や夜道を照らすあんどんなどをデザインし、当日も売り子となって雰囲気を盛り立てた。未来の祭りの担い手は、こうして育っていく▼あるスタッフは当初「これで祭りと呼べるかどうか、分からない」と心配そうな表情だった。ただこうも言った。「たくさんの人が笑顔になってくれたら、一歩先へ進める気がする」と。まさに有言実行である。市町村によって夏祭りの開催判断は異なるが、遠くない復活のときを信じてアイデアを練ることには、大きな意義がある。

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