2021年7月3日付

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田んぼの真ん中に棒のようなものが1本立っているのが見えた。ずっと前から気になっていた。棒には小さな箱のようなものが付いていて、何かを測定しているようだった。その田んぼで米作りをする農業経営者と出会ったのは偶然だった▼別の場所で、たまたま農作業の省力化について立ち話をしているときだった。田んぼの水位を常時監視できるようにしているからと、スマートフォンを見せてくれた。はっとした。ひょっとして、あの田んぼの持ち主ですか―と聞いてみた。正解だった▼水の調節は今まで通り手作業で行っているそうだが、田んぼの見回りをしなくてもいい分、他の仕事ができるところに利点を感じているという。農業経営者は70代後半。聞けばハウスの温度管理にもセンサーを使っているらしい。電子機器を使いこなし、端末に送られてくるデータを自分で読み解く姿には感心した▼農業従事者の高齢化や農業人口の減少を解決する技術としてスマート農業が注目されている。自動化の研究が進み、熟練農業者が持つ豊富な知識や経験を誰もが使えるように標準化できれば、いつか人工知能(AI)を活用した農業も登場するかもしれない▼野菜作りの名人に、どうすればおいしい野菜ができるのかを尋ねたことがある。答えは「そりゃ愛情よ」のひと言だった。目に見えない不思議な力をAIならどう取り込むか。見てみたいものだ。

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