2021年7月5日付

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「トランプ大統領は救いようのない間抜けだ」。らしくない乱暴な言葉遣いに驚き引き付けられた。2年ほど前だったか。ツイッターに流れてきたオバマ元米大統領の演説動画。本人が話しているようだが、注意して画面を見ると「ディープフェイク」の注釈が付いていた▼最近では日本でも、震度6強の地震発生後、官房長官が笑顔で会見する写真がネット上で拡散された。これも改ざんされたものだ。官房長官は会見で「許されるものではない」と述べ、政府として対策を検討する考えを示した▼ディープフェイクは「ディープラーニング(深層学習)」と「フェイク(偽物)」を組み合わせた造語とされ、人工知能(AI)を使って精巧に合成される映像を指す。AIの発展で声の合成精度も上がり、ぱっと見ただけでは見分けがつかない。だまされそうで悪用が心配になる▼写真へのAI技術の活用では、白黒写真のカラー化がよく取り上げられる。過去の著名人が身近に感じられたり、戦後の街並みの様子などは人々の息遣いが感じられるほど生々しさを増したりして、最先端技術の力に感心させられる▼いつの時代も、便利な技術は使いようということか。ディープフェイクは、また疑うべき情報が増えたようで気が重くなる。技術の進歩は高度な疑似体験も可能にしてくれるが、一方で「リアル」に触れる行為がさらに大切になってくる気もする。

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