2021年8月11日付

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8月6日は広島、9日は長崎の原爆の日、そして15日は終戦記念日。戦争を知らない世代でも戦争を意識する月である。毎年関連する取材もあり、個人的にもさまざまな関係者の話を聞いてきたつもりでいる▼そんな思いの中でとても残念だったのは、6日に広島市で開かれた平和記念式典での首相のあいさつの読み飛ばしである。報道によれば「わが国は、核兵器の非人道性をどの国よりもよく理解する唯一の戦争被爆国であり、『核兵器のない世界』の実現に向けた努力を着実に積み重ねていく」などの部分。前後のつながりが不自然だったにもかかわらず、そのままあいさつを続けていた▼誰にでもミスは起きる。しかし、「唯一の戦争被爆国」というくだりは、非核化に向けて日本が果たすべき役割の本質に関わる極めて重要なキーワードではなかろうか。それを読み飛ばすなんて。単なるミスと言えるのだろうか▼「自分の言葉で話していないからそういうことが起こる」。識者や野党などからは一斉に批判の声が上がった。同感である。これまでも記者会見などで原稿をそのまま繰り返すような受け答えがたびたび指摘されてきた。そうした姿勢が象徴的に表れたのではないか▼政府の呼び掛けにもかかわらず、新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めが掛からない。国民に響くメッセージが届いていない。そんなことにも通じているように思える。

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