2016年09月21日付

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運動会の楽しみは家族で食べるお昼だった―なんて言うと「昭和30年代の生まれか」などと指摘されてしまうだろうか。だが、年に1度の一大イベントの中でも、昼食は別格だったと記憶する。それが今では邪魔者扱いされる傾向にあるらしい▼運動会のお昼の定番はおにぎりやいなりずし、卵焼きに鶏肉のから揚げ、タコ風のウインナーソーセージなど。遠足の弁当と重複する面もあるが、いずれも日頃の給食とは違う「特別感」に満ち溢れていた▼ところが昨今は、この特別なひとときを敬遠する動きがあるという。理由は「弁当作りが大変だから」。献立を考え、材料を買い、早朝から準備するのは大きな負担になろう。最近はコンビニ弁当だけで賄う家庭もあると聞くが、それさえ厄介になってしまっているようだ▼生活は加速度的に手軽で簡単、便利になった。だが、子育てばかりは「レンジでチン」というわけにはいかない。生きていく上で必要なこと、大切なことを伝えるには、言葉だけでなく、一つひとつ地道に働きかける姿勢を見せることが求められてくる▼昨今は準備の負担を理由に保育園行事に消極的な向きもあるという。大変だから―と、排除した先には一体何が残るのだろう。苦労や障害を経てこそ真に喜びや感動も得られるというもの。運動会のお弁当一つにも、人一人の人生を彩るには欠かせない多様なメニューが詰まっている。

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