2021年11月2日付

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貴重な1票を無駄にしない。そんな使命感から足を運んだ投票所だったが、今回もモヤモヤした気持ちが残った。受け取った用紙には小選挙区で激しい選挙戦を繰り広げた候補者のほか、よく知らない11人の名前。憲法の番人たる最高裁裁判官を審査するには明らかに準備不足だった▼衆院選の投票日に実施される国民審査。最高裁裁判官にふさわしい人物か、国民が直接審査する解職の制度だ。辞めさせたい裁判官に×印を記入し、有効投票の過半数に達すれば罷免することができる▼国民審査は民主的手続きに見える一方で制度の形骸化が指摘されている。裁判官の罷免を判断するには、そもそも材料となる情報が足りない。制度が始まった1949年以降、罷免された事例は皆無。何も考えずに信任を意味する白票を投じる人が多いのだろう▼有権者へ配布される審査公報には裁判官の顔写真や関与した裁判、心構えなどが掲載されている。夫婦別姓を認めないことや参院選での「1票の格差」問題の違憲性などに対し、異なる見解が示されていて興味深い。罷免の理由になり得るかはともかく、裁判官を知る手掛かりにはなる▼付け焼き刃の知識で臨んだ国民審査。やはり辞めさせるほどの理由を見つけるのは難しい。正当な評価には国民に裁判官の考えを伝える情報発信が不可欠。心置きなく×印を打てるようになればモヤモヤも解消されるだろう。

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