満蒙開拓の記憶伝える 早出さん証言集出版

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旧満蒙開拓団員から託された体験と歴史を証言集にまとめた早出伸哉さん

エルシーブイ放送制作部に勤務する早出伸哉さん(47)=諏訪市=が、戦時中に旧富士見村(現富士見町)から旧満州(現中国東北部)に渡った元満蒙開拓団員19人の証言をまとめた「19の証言 満蒙開拓団 富士見分村の真実」(鳥影社)を自費出版した。満蒙開拓平和記念館(下伊那郡阿智村)の監修と協力に感謝し、「満蒙開拓の歴史と記憶を伝え、平和や社会の在り方を考えるきっかけになれば」と思いを込めている。

戦後70年の2015年に同社が制作したドキュメンタリー番組「満州 富士見分村~戦後70年の証言」を担当した早出さん。満蒙開拓団に参加した元開拓団員の体験談を集め、当時の文献や資料とともに報じた。番組はNPO法人放送批評懇談会が国内のテレビ、ラジオ番組から選ぶ第53回ギャラクシー賞テレビ部門選奨を受賞している。

一方、取材できなかった元開拓団員が数多く生存し、富士見分村の資料が散逸して消失しかねない現状を知り、取材協力者の訃報が相次ぐ中で危機感を募らせていた。18年秋に元開拓団員の集まりに誘われ、「今、自分にできることをしよう」と決意した。

証言は18~19年に聞き取った。番組で取材した12人のうち再取材できたのは8人。そのほか11人から新たな証言を得た。富士見町のほか駒ケ根市や横浜市にも足を運んだ。取材時の年齢は79~96歳。富士見分村で子どもや青年だった人たちで、後世の平和学習に役立てばと実名で戦争体験を語ってくれたという。

早出さんは「満蒙開拓は国策でしたが、中国の人々から見ると加害者としての一面があった。証言を読むことで異なる時代や価値観に触れ、学ぶことができます。今の時代をどう生き、どんな社会を作り、世界の人たちと共生していくのかを学び、考えるきっかけになれば」としている。

本はA5判335ページ。満州国や満蒙開拓団を解説し、富士見分村の歴史を記録。元開拓団員の証言では当時の体験や引き揚げ後の生活、今の心境などがありのままに語られ、富士見分村の写真約50点を含む資料も多数掲載した。1000部を自費出版した。

問い合わせは、鳥影社(電話0266・53・2903)へ。

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