駒ケ根市中沢の菅沼さん 最後のザザムシ漁

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長年通い続けた天竜川で最後のザザムシ漁を行う菅沼重眞さん

冬の天竜川で半世紀以上にわたりザザムシ漁を続けてきた菅沼重眞さん(85)=駒ケ根市中沢=が、今期限りで漁を引退する。寒風吹きすさぶ川に毎年足を運んできたが、加齢による体力の衰えもあり決断した。「寂しい気持ちもあるが、古里の川とともに歩めた日々は楽しかった」と振り返る。

菅沼さんがザザムシ漁を始めたのは18歳の時。趣味でザザムシ漁をしていた父政治さんから見よう見まねで覚えた。「父が道具を残してくれていたから漁を続けようと思えた。感謝したい」と語る。郵便局に就職後も休日は川に通い、退職後は本格的に漁に励んできた。

最後の漁日となった3日、午前8時に自宅を出た菅沼さんは例年と変わらず市内の天竜川に向かった。川底に設置する四つ手網は、約50年前に職場の知人がソヨギの木で仕立ててくれたのを修繕しながら使ってきた。漁場を確認すると網を置き、少し上流でくわを振るって石をひっくり返す。川の中で虫を踏むような動作から「虫踏み」ともいわれるザザムシ漁の風景。この日は水流が激しく数匹の収穫しかなかったが、「健康でいたからここまで続けることができた」と心穏やか。青天の下、冷たい瀬に立ち久しぶりの漁の感触を味わっていた。

伊那谷の冬の風物詩を子どもたちに伝えようと、菅沼さんは12年前から母校でもある同市中沢小学校の児童にザザムシ漁を教えている。来年も体が動けば教えたいといい「獲るのが楽しんだよ。子どもたちに伝えて、大人になった時に漁に出てもらえたらうれしいね」と願った。

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