2021年12月25日付

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ひと口飲んだとき、思わず出る言葉は「おいしい」だったり「うまい」だったり。その場面や周りの顔ぶれで自然と使い分けしているのかもしれないが、伝わり方が少し違う気がする。今年の新酒は「うまい」だったそうだ▼伊那市高遠町で、地元の農家が収穫した酒米を地元の酒蔵が仕込み、地元の酒販店でつくる研究会が企画販売している純高遠のブランド地酒のことだ。農事組合法人山室の代表理事大塚治男さんは「ただ『うまい』じゃない。うなるような『う~んまい』だった」と教えてくれた▼聞けば、重みを感じる味らしい。コメはとても豊作とは言えなかったが、品質が良かった。酒造りに関わる人たちの頑張りや、応援してくれている人たちの気持ちがその味に乗っかっていることを、コロナ禍の今だからこそ感じているという▼法人は先日、組合員らを集めた餅つきの会を開いた。前夜の雪がうっすらと積もり、寒さが厳しい朝だったが、集まった人たちの笑い声がそれを吹き飛ばした。こういうコミュニケーションが作物の品質を上げ、農業や集落そのものを維持していくための有機的な肥料になっているのだろう▼発売から17年目。仕込み量が少なく、毎年微妙に味が違うのが特徴で、そこが愛される秘密だとか。酒蔵によると、年の瀬が迫るにつれておいしさが増すそうだから、今ごろはもっと「う~んまい」になっていることだろう。

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