御神渡り観察3週間 大総代の大久保さん

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毎朝行っている水温観測とともに湖面に目を移す大久保さん(右)。快晴の空は朱色に染まり始めていた=25日午前6時36分

諏訪湖の御神渡り(御渡り)の判定と神事をつかさどる八剱神社(諏訪市小和田)の観察は、26日で3週間となる。早朝午前6時30分、まだ暗いうちに行っていた湖水温の測定は、いつしかあけぼのの色がほのかに東の空を染める頃、測るようになった。湖面はこの3週間、夜の結氷と昼の解氷を繰り返した。大総代の大久保一さん(71)=諏訪市杉菜池=は、多くの諏訪人と同様に御神渡りの出現を心待ちにしながら毎朝湖上を見詰め、改めて感じる。「冬の諏訪はやっぱり美しい」。

今季は観察開始3日目の7日に早くも全面結氷。冬型の気圧配置が続く見通しに御神渡り出現への期待は早い時期から高まっていた。周囲から「今年は御神渡りができそうだね」などと声を掛けられることが多かった。結氷後に強風で氷が割れて岸に打ち上げられ、再び現れた水面が翌朝の寒さで凍り、昼間解けて、湖面が波立って…。朝の「全面結氷」は9回目を数える。大久保さんは「なんだか皆さんに申し訳ない気持ち」。

結氷から5日目の9日から徐々に氷上での観察が行われるようになったが、大久保さんは岸から見守ることが多い。「落ちたらと思うと、おっかないもんで」と冗談交じりに語るが、本心は別のところにある。「御神渡りの観察は本来、観察総代が主役。自分が目立ってはいけない」。ある朝、氷上を見詰めながらこうつぶやいた。

大久保さんのこの3週間の一番の思い出は氷上での観察。総代仲間に促されて氷の上に立った。そこから見た氷に覆われた景色、澄んだ空気、荘厳な雰囲気。「きっとここには神がいる」。そう感じた瞬間だったという。

幼少の頃の冬、友人とスケートをした楽しい思い出がある諏訪湖。氷上は好きな場所の一つだ。それでもあえて陸から宮坂宮司や観察総代らの様子を見守る。「今年は毎朝集まる総代の数が多いですね」。そんな問いに隣にいた総代がすかさず答えた。「そりゃあ、大久保さんの人徳ってもんだよ」。

寅年生まれで年男、八剱神社大総代だけでなく、諏訪大社大総代、御柱祭に向けた上諏訪地区奉賛会長も務める大久保さん。「今年は御柱祭の年。冬らしい寒さが続いて御神渡りが出現してほしい。その先の大祭も感染症が落ち着いた状態で迎えたい」と神を感じた諏訪湖に願う。

25日朝の湖は諏訪市豊田の舟渡川河口近くは結氷していたが、中心部から岡谷市湊側に掛けては氷が解け、水鳥たちが群れていた。そんな様子を見ながら「でもね、70歳を過ぎてなお、こんなにも充実した毎日を送らせてもらっているのは本当にありがたいことだよ」とほほ笑んだ。

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