2016年10月07日付

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葉っぱの緑に同化していた柿の実がほんのりと色づき、存在をあちらこちらでアピールし始めた。見たところ、実り具合はちょっと少なめか。気になって、駒ケ根市で柿を栽培している営農組合の関係者に尋ねると、平年作を見込んでいた▼組合では渋柿の「平核無(ひらたねなし)」を栽培し、半生乾燥の干し柿「あんぽ柿」に加工して、出荷している。特産化を目指して試験加工を始めたのが6年前。同市の中沢や東伊那で普及を進めた柿は、収量も安定してきて、本格生産に入っている▼「あんぽ柿」生産のために柿の栽培を振興する中沢や東伊那辺りでは、かつて「せんぼ柿」と呼ばれる種類の柿が多かったそうだ。果実はやや小さく、筆の穂先のように先がとがっていたらしいから、ひょっとしたら呼び名は「さきぼそ」からきているのかもしれない▼皮をむかずにそのまま割って干したり、渋抜きして「さわし柿」にしたりして食べたと聞いたことがある。その昔、さわした「せんぼ柿」を馬に付けて売りに行ったそうだから、当時は立派な地域の特産品だった▼果実が大きく、加工品が付加価値を高めてくれる「平核無」に比べれば果質は劣るのだろうが、一番身近な果物として柿が暮らしと結びついていた時代には、選ばれて栽培されていた理由があったと思う。地域では収入源としても大事にされていたであろう「せんぼ柿」だ。どこかに残っているだろうか。

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