2022年4月15日付

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戦中世代の人からは「子どもの頃、弟や妹の世話は自分の役目だった」という話を聞く。ぐずる子を背負ってあやすうちに疲れて足腰が立たなくなった、と笑い話のように語る▼そんな世代には社会問題とは感じにくいかもしれない。「ヤングケアラー」のこと。日常的に家族の世話や介護を担う18歳未満の子ども、若者を指す。国などの調査で、中学2年生の約17人に1人が家族の介護をしていることが分かった▼かつてと違うのはケアを担う家族がとても少ないこと。親子二人暮らしで病の親を子どもが介護したり、中には病気の親、障がいを持つきょうだいのケアを同時に一人で担う子どももいるそうだ。周囲に助けを求めも出来ずに孤独の中で、勉強、睡眠の時間を削って尽くしている▼その子は小学生の時に母親を亡くして以来、ずっと一家の主婦。放課後の寄り道の誘いをやんわり笑って断り、家事が待つ道を急ぐ。夜明け前の暗い台所に立ちながら、「なぜ私だけが」と境遇に涙することもある―と明かした▼でもね、と彼女。卒園以来、見守ってくれる保育園長の言葉に心救われたという。「あなたは同級生の皆が見たこともない夜明けの美しさを知っているわ」。他人の暮らしに立ち入るのは難しい。が、子ども故に社会や情報から孤立してしまう状況を早く改善しなければ。ともかくも、「独りではない」と伝えるだけでも意義はある。

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